皆様:
原発を残しておくべきだという意見が、まだ多く残っています。それは、電力供給が原発にかなり依存しているから、それを廃止したら困るという議論です。原発の必要性は、それほど深刻な問題ではないということは、先の田中優さんの話でもかなり納得できるところです。しかし、それでもなおという方には,次の最悪のシナリオ(落合:日刊ベリタ2011.04.19掲載)をお読みください。脅かすわけではなく、原発を続けていたら、かなりの確率で起こりうることだと思います。では、
原爆/原発/軍事的自衛
日本は、第2次世界大戦の最後に原爆を二つ落とされ、アメリカの水爆実験では漁船第5福竜丸乗組員が被曝、そして今回の原発の事故による放射性物質の拡散と様々な放射能被害に遭ってきた。
人類は、放射性元素の発見(有名なキューリー夫人が最初)に始まり、核分裂反応を発見した。第2次大戦後期には、核分裂を応用した大量破壊兵器を、ドイツが開発しているというウワサに基づき、それに負けじと、アメリカが原子爆弾開発を急いだ結果、実用可能なものが、1945年始めに完成した。人類というものは、可能だとなるとそれを実現しなければならない(科学・技術段階)、そして、それを完成したとなると、それを使用しなければならないという衝動を抑えるのがむずかしいようである。原爆はちょうど大平洋戦争が、最終段階に入る時にできたので、それを使いたい。原爆を使わずとも、日本が降伏することは、かなりの正確度で予想されていたにもかかわらず、原爆使用を正当化するシナリオを作り上げて,原爆を1つならず2つも落とした。1つ落とせば十分なのに、どうして2つ落としたか、それは、原爆とはいえ、2つは別のモノを使って作った(ウランとプルトニウーム)ので、2つとも実験してみたかったようである。
戦後、対立するソ連が、原爆開発に乗り出し、西欧諸国もそれに参加、アメリカは、さらに強力な大量殺人兵器−水爆を開発,実験を行って、それに日本人がまたも巻き添えをくってしまった。これらの原爆開発国は、その「悪魔」性を少しでも軽減させる(自分達自身も他の人をも納得させる)ために、この原理は平和的目的にも使えるのだということを世界に知らせるために、原子力発電なるものを開発しだした。そして、原爆の被害を受けた日本でこそ、原子力の平和利用を促進することは、宣伝効果(悪魔性収縮効果)があるというわけで、日本へ原発開発を持ち掛けた。日本側には、それによって利益を受ける集団が進んで、原発開発に乗り出した。その結果が現在日本全国に分布する54基の原子炉である。
さて,原爆では、瞬時に莫大な熱が発生し、強風を引き起こした結果、瞬時に多数の死者を出した。その上に、原爆が放出した放射性物質が、生き残った人々の体内に入り込み、放射線による内部被曝の結果、様々な後遺症、健康障害を引き起こし、生き残った人々を苦しめた。
原発の問題は、これと同様に、(この場合には事故により)放射性物質が原発施設外に出てしまうことによる。それが、人々に原爆の後遺症と同様な被害を及ぼすことにある。それがどの程度になるかは、今後放射性物質の漏出をどの程度うまく抑えられるかによる。さてこれが、日本人の被曝の第4回目である。
今ある原発を停止して放射性物質(燃料棒)を安定な状態に持って行かずに、運転を継続したら、どうなるかを考えてみよう。日本は、地震多発地帯に位置しており、いつまたかなり大きな地震が襲わないとは限らない。これは誰もが,予想していることである。そして、原発は、海岸沿いに造られていて,地震ばかりでなく津波の影響を受けることは必定である。福島原発は設計の段階で、十分な津波対策は考慮されていなかったらしいし、これ以外の現在稼働中の原発がどの程度災害対策ができているか、非常に疑問である。その上、プルサーマルや、高速増殖炉のような、より危険な炉も稼働している。次の地震・津波では、さらに大きな危険が予想される。それは、現在よりも苛烈な放射能被害をもたらすかもしれないーこれは日本の被曝第5回目ということになる。
もう一つ、現在、東アジアの国際間が緊張しており、日本国内では、自衛力強化を促進している。ということは、いざという場合、武力による対応を考慮しているのであろう。現在の国際間の武力衝突では、長距離からのミサイル攻撃が先制するであろう。敵は何をターゲットにするだろうか。軍事基地が先ず最初であろう。2番目は、おそらく日本全土にある原発であろう。これにミサイルが打ち込まれて、原子炉が一部でも破損したらどうなるか。放射性物質の漏出である。日本中がこれにより放射能で汚染されることになる。このあと、(この間、日本側も相手側をかなり破壊することはできたとしても)日本は数世紀は人間が住めなくなる。これが日本の第6番目のそして最後の被曝になるであろう。
こんな未来図は、望ましいことなのであろうか。このような未来を避けるためには、(1)原発廃棄,(2)武力に依存しない国際間の軋轢回避(平和憲法を堅持し、世界各国に原爆・その他の兵器放棄を呼びかける)しかない。
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