2009年9月民主党政権が、長く続いた自民党政権にあいそをつかした日本国民の期待に答えるべく発足したが、政治献金などの非本質的問題(重大問題ではあるし、早急に解決しなければならない問題だが)でつまずき、今、公約した普天間基地沖縄県外移設問題で、沖縄県民の念願である沖縄基地縮小(さしあたり普天間基地撤廃、代換地なし)を、アメリカ政府に堂々と要求することが出来ないでいることは日本国民の信頼を裏切るものである。
しかし、一方これは沖縄県民以外の日本国民に責任の一端があるように思われる。首相もなんども発言しているように、日本の安全保障に沖縄の基地が一役かっているという思い込みである。政治家も日本人の多くも,日米安保が日本の安全に寄与していると思い込んでいるようである。従って、日米関係はさらに深化すべきという意見が多数を占めているという事実こそが、普天間基地県内移設に、沖縄県民以外の日本国民が声を大にして反対の意思表示をしないでいることの原因であろう。そこで、現政権は、断固としてアメリカに普天間基地撤廃、県内移設反対を主張しない(できないのではなく)のではないかと思われる。
さて日米安保とそれに基づくとされている日本国土上への米軍基地の維持は、本当に日本を守るためにあるのだろうか。本当にいざという場合、アメリカは日本の安全を保障してくれるのだろうか。そもそも、日米安保は、冷戦中敵対国であったソ連と中国へ睨みをきかせる格好の場所に日本が位置しているがために、日本への安全保障を口実に、アメリカが第2次世界大戦後も占領しつづけるために作りあげたものである。過去半世紀、日本が侵略の危機に晒されるような事態がなかったので、アメリカの本心を試す機会がなかったから、確認のしようはなかったが。
逆に、日本人の多くは、アメリカの保護下にあったからこそ、今まで日本は安泰だったのだと思っているようだが。しかし、なにも起らなかった原因が、そのためであったと実証することは不可能である。それよりも大戦後の世界情勢、なかんずく日本の世界的地位への台頭などの実情から考えるに、日本を攻撃しようとする国があったとか、現在もあるようには思われない。北朝鮮の脅威を政治家は強調するが、あの国にはそんな余裕はない。アメリカの脅威に対して強がりを見せているだけであるし、「金」独裁体制を維持するため、国民の目を外からの脅威に向けるような雰囲気を作り出しているだけに過ぎないと思われる。
アメリカの軍事主義、世界制覇欲などについては、このブログ(vsa9.org)でお知らせした筆者の著書(未出版だが、日刊ベリタ紙上に発表)に詳しく議論したので、参照していただきたい。しかし、そのような努力をされなくとも、現在の世界を見渡して見ていただけば、このことは歴然としているのではないだろうか。現在世界中の紛争のあるところで、アメリカが全然関与していないところは非常に少数である。そのアメリカの関与の仕方だが、平和構築ではなく、覇権の拡大、資源の獲得などという帝国主義的なものが大部分である。アメリカという国は、世界平和構築への大きな障害なのである。日本がいつまでもそれに加担していてよいものだろうか。さしあたり普天間基地閉鎖、移設地を提供しないということを声を大にして多くの人が主張してほしい。(落合栄一郎)
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