2010.11.17日の東京新聞の記事です。民主党と経済界が、日本政府の事実上の武器輸出全面禁止(アメリカは例外)を緩和しようとしています。この案では、まだ限られた数カ国のみが対象ですが、いずれなし崩しに拡大されることが懸念されます。
武器輸出、欧・韓・豪にも 三原則緩和、民主提言へ
2010年11月17日 朝刊
民主党の外交・安全保障調査会(中川正春会長)がまとめた武器輸出三原則の見直し案が十六日、明らかになった。武器輸出禁止を定めた三原則の例外 としている米国に加え、英国、フランス、韓国、オーストラリアなど武器輸出管理の厳格な国も例外化して禁輸を緩和する。同調査会は月内にも政府に提言。こ れを受け、政府は年内に策定する新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)に三原則見直しを盛り込むかどうかを検討する。
武器輸出をめぐっては、佐藤内閣が一九六七年に(1)共産圏(2)国連決議で禁止された国(3)紛争当事国とその恐れのある国−には認めないとの 原則を表明。三木内閣が七六年に厳格化し、事実上の全面禁輸とした。現在は米国との武器技術供与や共同開発が例外になっている。
民主党調査会の見直し案は、当初の三原則は維持しながら、新基準を設けて事実上の全面禁輸を緩和し、三木内閣の見解を修正する内容。具体的には、 核拡散防止条約(NPT)など大量破壊兵器に関する三つの条約と四つの国際枠組みにすべて加盟・参加し、大量破壊兵器を拡散させる恐れがない「ホワイト 国」を共同開発・輸出の相手国の目安にするとしている。
経済産業省は現在、「ホワイト国」として米国と欧州二十カ国のほか、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アルゼンチンの計二十六カ国を指定している。
ほかにも、共同開発・生産された武器が紛争を助長する形で第三国に輸出されることがないように、相手国に法的担保を求めることなどの新基準を提案している。