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11.25.2021

人類の当面する基本問題(36) 人類文明の転換期日を象徴する「3.11」と「9.11」 今年は10年、20年の節目の年(日刊ベリタ2021.01.03)

20213.11日は、コロナ禍のパンデミックがWHOによって宣言されてちょうど1年、東日本大震災、それに伴って発生した福島原発事故から10年の節目の年になります。そして半年後の9.11日は、アメリカ本土(ニューヨーク、ワシントン)でのいわゆる同時多発テロ事件から20年目、そして今より半世紀ほど前の19739.11日は、チリでの選挙で選出された大統領アインデ をピノチェット率いる軍事クーデターで倒すという事件。これは、実は、これによって政権を獲得した側が、アメリカの後押しで、経済の「新自由主義」的施策を始めたという画期的事件で、経済の「新自由主義」の実現(理論はもっと前から)発祥点と考えられている。

 こう見てくると3.119.11は、ともに人類文明の転換期日を象徴しているようである。まず1973年の9.11、チリで始まったとされる経済の「新自由主義」政策が、その後,欧米諸国から始まって、日本,韓国、オーストラリアなどなどの国の経済を支配してしまった。政治的には共産主義である中国も、社会主義の崩壊したロシアでも、経済的には、「新自由主義」的な方式を取っている。それは、経済成長、利潤を最優先としている意味で。ただ、南米のいくつかの国(キューバ、ベネズエラ、エクアドルなど)では、社会主義政党ががんばってはいる。

 1991年にソ連圏が崩壊し、冷戦が終了し、軍備拡大(軍需産業という巨大企業の利益源)が不必要になったアメリカで、都合よく、2001年の9.11テロ事件が発生し、アメリカは、対テロという終局の見えない目的のための軍需拡大を可能にし、軍需産業はますます強大になってきた。そして、アフガニスタン、イラク、リビア、シリアと戦闘を拡大し、軍需産業を富ませてきた。

 10年前の3.11福島原発事故は、チェルノブイリ事故(1986年)についで、最悪レベルの事故とされている。現状は、しかし、チェルノブイリをはるかに超えた過酷な事故であった。なにしろ、爆発を含めて事故を起こした原子炉は、4基(チェルノブイリは1基)。メルトダウンした核燃料は3基のもの。そのメルトダウンしたものの周辺は放射線量が高すぎて、人間は近づけない(おそらく即死)。これをどう処理するか、いまだに解決策は見出されていない。その上、新自由主義の典型的政策で、被ばくによる病死の隠蔽、その危険性の否定、そして避難者の生活の経済支援などの軽視、原発企業側にとって好都合な施策のみ。この過程では、行政ばかりでなく、司法機関も政府・企業に寄り添い、報道機関もそれに準じている。あらゆる意味で、一般市民を無視している。

 さて、最近の 3.11日。国連保健機構WHOは先年(2019年)発生した新型コロナ(SARS-CoVD-2)による肺炎などを伴う感染症(Covid-19)が拡散し始めた2020年3月11日に「パンデミック」を宣言した。本当に世界中に拡散するかどうか不明瞭な時点で。

 2009年の6.11日に、実は似た様なWHOによるパンデミック宣言が出されたことがある。この時の感染症はスワインフルー(豚フルー)であるが、通常のフルーと大して差がなかった。しかし、パンデミックとされたため、ワクチン注射が多くの国で義務付けられたし、恐怖でパニックに陥った人々は争ってワクチン注射を受けた。このパンデミック宣言の背後には、WHOを支える大製薬会社、ワクチン製造業者などがあり、そうした側からの影響で、パンデミック宣言が出されたらしい。この間の事情については、当時日刊ベリタに報告した(注1)。

 これとほとんど同様なパンデミックと称される現象が現在のCovid-19である。PCR検査による陽性反応を問題のSARS-CoV-2ウイルスに感染したとする方法による感染者数は、2020年末の時点で各国で急増している。(PCR検査陽性=感染とすることの問題点はこの欄でなんどか指摘してきた(注2)。といっても、ほとんど感染者数が消滅した国もある。そして、パンデミックが宣言されてから、わずか8ヶ月足らずの間に、ワクチンが完成,認知され、多くの人に行き渡るレベルの量が生産されるようになり、いくつかの国では接種がはじめられた。これは、ワクチンの製造の歴史からみて、非常に異例である。この現象の全てが、パンデミックーワクチン接種(おそらく義務づけも)大企業(製薬業、ワクチン製造)の利益へと繋がっている。実は、それ以上のより根本的な、社会構造変革の意志が、この現象の底に横たわっているようだが、それは別な機会に。

 感染者,死亡者の数の増加は、日夜、24時間体制で、人々に告げられている。こうした報道は、人々を恐怖に陥れている。しかし、報道されない事実との対比などを検討すると、実はそれほど恐れる必要のないものなのかもしれないのである。

 というのは、どこの国でも、日々、人々はなんらかの原因で死んでいっているのである。日本の例を見てみよう。2014年のデータ(注3)であるが、人口10万あたりの死亡率:全死亡率=997.40(/100,000(すなわち約100人に1人、1%)である。ウイルス肝炎では4.2(/100,000),その他の感染症および寄生虫症で4.0(/100,000)であった。全てのガンによる死亡率は、295.1(/100,000)(全死亡者の29.1%)。なお、インフルエンザのみの死亡率は2018年に2.8 (/100,000)2019年に3.0 (/100,000)であった。 さて、2020年の1230日までの新型コロナによる死者は、発表数に基づいて、2.6(/100,000)である。こうした数値を較べてみると、Covid-19による死亡が突出して多いなどと言えるであろうか。報道機関がこうした数値も、現在の感染者・死亡者数の発表と同時に、人々に伝えていれば、そんなに恐怖を与えることはないのではなかろうか。おそらく、世界的権威とされるWHOによる「パンデミック」という宣言が、報道機関にこうした時間毎の報道を促しているのであろう。こうしたことは、福島原発事故の報道にも見られるように、報道機関がすでに新自由主義勢力の支配下に入ってしまって、視野が狭くなっていることを意味するのであろう。

 その上,以前から指摘していることだが、Covid-19感染者が増大するなか,通常のインフルエンザは、ほとんど消滅している(平年の98%減)という現象。これが本当なのか。どちらも主要な症状は呼吸器系統、インフルエンザ感染をCOVID-19感染と混同している可能性は本当にないのであろうか。全てとはいかないまでも、かなりの部分が。

 もう一つ、指摘しておきたいことは、今回のコロナによる死者の多くは60歳以上の高齢者でしかも持病持ちであり、真の死因が、コロナウイルスによる直接的な死なのか、コロナ感染により持病が悪化したための死なのか、それぞれのケースで充分に検討された上での死者数なのか不明であり、おそらく、真の意味の死者数は、公式発表数よりかなり少ないのではないかと、様々な場面で指摘されている。本日 (2021年1月3日)アメリカ大統領トランプがツイッターで、こうした懸念を表明し、CDCの発表数などはフェイクだと指摘した(注4)。

 ただし、こうした筆者の議論は、COVID-19の危険性を否定しているわけではなく、このコロナウイルス感染症の特殊性肺炎のみならず身体の様々な部分、特に脳への影響が、しかもかなり長期にわたって継続するなどーの深刻さなどを軽視しているわけでない。

 さて、こうして見てきた3.119.11という画期的事件だが、すべて人災である。福島事故は、確かに地震・津波という自然現象に付随したが、東電の安全対策の軽視による人災の面がつよい。コロナ禍は、自然現象ではあろうが、パンデミック宣言は人災として現在の人類に影響を及ぼしている。人類(といってもそのうちの少数だが)は、多数の存続・幸福を主眼とはせず、自分達の利益のために、その権力(金銭と軍事力)の増大しか、眼中にないように見える。多数はこうした面に目をつぶるように仕向けられているようである。

 

 

(注1)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200912131511030

(注2)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202010220837044 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202011090954401;

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202011281557466;

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202012061730390

http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202012210923391

(注3https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai12/dl/h6.pdf

(注4)https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1345720107255926784


人類の当面する基本問題(35)生態系の中の人間という種—他生物との共存 (日刊ベリタ2020.12.26)

ウイルス、細菌から始まって、水中の動植物そして地上・空中の動植物、その数百万種ではきかない数の生き物がこの地球上には生存している。人間はその中の1種。こんな事実は、だれでも知っているが、日常そんなことは意識せず、我々人類が地球上で中心的な存在だと思い込んでいる、いやそんな意識もないでしょう。問題は、では人類はそうした生態系の中で、どんなことをしているか、生態系にどんな影響を及ぼしているか、逆に生態系の中の生物は人類にどんな影響を及ぼしているか、それにたいして人類はどう対処しているか。人類の科学技術の進歩は人類の生存そのものを含む生態系に甚大・深刻な影響を及ぼしているのだが。

 

(1)目に見える生態系に対する人類の影響

 

 かってこの問題,人類がどの程度の影響を生態系に及ぼしているかを検討した(注1)ので、その一部を再掲載する。“引用ー人類が現在その植物の全生産量のうちの何パーセントを使用(食糧、医療、住宅,その他直接、間接に)しているかを試算した人がいる。まず全植物の生産量は陸上植物で1.3 x 10^14 kg/year、海その他の水生植物が0.9 x 10^14 kg/year、計2.2 x 10^14  kg/yearである。人類が使用する植物の量は、彼らによると6 x 10^13 kg/year (食糧だけで約1 x 10^13 kg/year)全生産量の27%にもなる(筆者の試算でもおよそ3分の1になる)。種の数でいけば、ホモサピエンスは5百万(未確定)種程ある生物種の一種にすぎない。人間はかなり大きな動物だから、重量で比較するほうが良いだろう。人間の生物圏に占める割合は重量でいうと、約2 x 10^11 kg (人類)/8 x 10^16 kg (全生物)、すなわち0.0003%ほどである。先の27%という数値はかなり議論のあるところだが、それがたとえ数倍も過剰に評価しているとしても、これは大変な量である。同様の試算が地球上の淡水についても行なわれた。人類はやはり全使用可能な淡水の実に30%ほどを使っているそうである。この残りの量で他の生物種が生存していくのはなかなか難しかろう。(勿論、人類の使い古しでも喜んで棲息できる種もあるにはある)この植物や淡水奪取の過程で他の生物の生息環境をも汚染し破壊していく。勿論工業生産に付随する環境破壊も考慮しなければならない。これでは他の生物種が消滅していくのは当然であろう。現在絶滅の危機に瀕しているかその状態に近づきつつある生物種は、目にみえる鳥類、魚類、ほ乳類、両性類、霊長類でおしなべて20-30%ほどだそうである。我々の気がつかないところでもっと多くの生物種が滅んで行っていると考えざるをえない。過去に生物種の消滅期が主なもので5回程あったが、その最大のパーミアン後期では50-60%の生物種が絶滅したようである。これはしかし百万年のオーダーの期間の話であるが、現在のそれはたかだか2-300年の期間のことで、消滅速度でいえば、1万倍程度の急激な変化である。このような急激な生物種の消滅がどのような影響を人類にもたらすか予想がつかない。ー引用終わり”

 現在の環境問題は、どうも「気候変動」とその原因とされる温室効果ガス排出という人為のみに注目されているが、上に引用したように、人類は、広範で深刻な影響を生態系および地球の地上周辺状態に及ぼしていること、そしてそれが人類自身に跳ね返ってきていることを充分に意識していない。

 

(2)環境汚染の生態系および人類への影響

 

人類は、その頭脳により、通常の生物ではできない環境破壊・汚染を拡大してきた。環境破壊問題は、すでに充分に議論されてきたので、ここでは論じる必要はなさそうである。基本的に間違った人類の環境破壊の2つを簡単に論じておこう。これは環境破壊というより人類種を含む生態系全体の破壊である。

 通常の環境破壊には、人類による物理的破壊(森林伐採その他)と化学的破壊(生物が対処できない人工的化学物質の環境への放出に基づく。農薬などの問題)がある。こうした問題は、人間の意志でなんとか変革できる。もちろん、こうなってしまった現状では変革するのは非常に困難ではあるが。もう一つ根本的な問題は、人間が、生命そのものをある程度変革する技術を身につけてしまったことである。すなわち、DNAを恣意的に変えることができるようになってしまって、生物そのものを変えることができる 。GMgene modified)作物などがその例であるが、人間そのものを変革することも可能になりつつある。

 20世紀に始められた「核利用」は、根本的に人間を含めた生態系とは両立し得ない。核利用の場で発生する放射性核からの放射線は、生物が対処できない強力な破壊力を持っており、それが環境に放出されてしまうと、対処の方法がない。環境に放出されなくとも、その破壊力が故に、安全に保管することが困難で、人類はまだ解決法を知らない。したがって、放射性核を大量に作り出す核産業(兵器、平和利用とも)は直ちに地球上から無くすべきなのである。

 

 

(3)ウイルス、細菌レベルでの問題

 

 さて、生物種はそれぞれ自己の生存を継続するという仕掛けを持っている。それは、Richard Dawkinsが「Selfish DNA」で主張したことである。もちろん、環境の変化その他により、生存を継続できないことはある。しかし、出来るかぎりの試みをDNAレベルで行なうようである。

 では、細菌対人間レベルではどうであろう。細菌は、人間が母親から生まれて独立した瞬間から、人体に侵入して、体内で、莫大な数の細菌叢を作る。これらの細菌は人間の体内の人体細胞・組織と共生していて、免疫機構を司る細胞などとも協力関係にある。しかし、細菌は人間にとって異物であり、こうした細菌叢のなかの細胞とは別の細菌が体内に侵入すると、人間の健康に悪影響を及ぼすが、それに免疫機構が対応する。

 細菌そのものは、自己の生存をかけて人体に入り、増殖を試みる。20世紀の始めに、人類は、抗生物質を発見した。これは、違った細菌種が、自己の生存をかけて、他の細胞を滅ぼすために開発した化合物(生物レベレの兵器)である。これを、人間は、細菌感染による病気の治療に利用したー抗生物質。そして、化学的に類似の機能を発揮する化合物を生物から抽出するばかりでなく、化学的にも合成し、多くの抗菌剤(抗生物質はその一部)が作られた。サルファ剤などは、抗生物質の発見以前から知られていたが。こうした抗菌剤が人類に、細菌による感染症病気の治療に大きく貢献した。過去数世紀でのこうした医療の進歩は、多くの場合,全世界での医科学者、医療従事者の協力によって行なわれてきた。その恩恵は人類全体で共有されてきた。

 しかし、細菌のほうは、そうした人間の使用する抗菌剤に打ち勝たなければ、生きていけない。そこで、抗菌剤をなんとか無効にしようと努力する。それが細菌中にあるプラズミッドという主DNAとは別な小さなDNAにそういう能力が蓄えられている。そして、現在では、多くの病原菌が、こうした抗菌剤に抵抗できて、しかも、かなり化学的にも違う抗菌剤へも抵抗できる多剤耐性を持つ菌が続出している。この間の事情は、例えば、吉川昌之介著「細菌の逆襲人と細菌の生存競争」(中公新書)に詳しい。すなわち、自己保存性が発揮されていて、人類に戦争を仕掛けているに等しい。

 さて、ウイルスはどうか。ウイルスは、細菌のような抗菌剤が作用するような場所(細胞壁)を持たないので、抗ウイルス剤というような薬剤は今のところ発明されていない。ウイルスに対しては、今のところ人体の免疫機構を発動させるやりかたとして、ワクチンやサイトカイン相当の化合物がある。前者は、ウイルスが侵入した時に、直ぐ抗体をつくり、免疫機構を発揮させるよう,人体に予め準備させる。後者は、サイトカイン(インターフェロンなど)などの摂取で、免疫機構を活性化し、ウイルス退治を促す。

 ウイルスが、細菌と同様な対抗手段をもっているかどうかは、まだ不明である。しかし、ウイルスのDNA RNA)は比較的安易に変異する。おそらく、宿主の細胞に侵入して、自らを複製させるのだが、その過程は、宿主細胞の通常の役目ではないので、複製の際に、間違いを起こす可能性が高いのであろう。これは、細菌などの対抗手段とは違うが、人間が作る(ある特定ウイルスに対する)ワクチンを無効にする可能性が高い。現在(20201220日)イギリスでは、コロナウイルスへの感染が激増していて、これは感染力の強い変異種が発生したからではないかと言われている。

 こうした異生物を人類にとって不都合だからといって死滅させてしまうことはおそらくできない。共存をどのように、人間に対して最小限の悪影響しか与えないように、人類全体が協力して当らなければならない。

 

 

(4)細菌,ウイルスの利用 

 

細菌その他の微小生物などは、食料の保存その他のための有用な利用の仕方(醸造など)はある。しかし、人間という種は、長年の歴史の中で、細菌,ウイルスなどを悪用してきたし、それが技術的な進歩で、より巧妙になってきているようである。西欧の植民地獲得の場面では、新大陸住民がある種の細菌への免疫をもっていなかった(それまでに、新大陸にはそうした感染菌がいなかったから)ことをいいことに、そうした細菌を散蒔き、大陸住民を沢山死亡させた。それによって、植民地を獲得しえた。ただ、その当事者がこのことを意識してやったかどうかは別だが。もちろん、通常の兵器も用いてはいた。

 第2次大戦中、日本軍は満州で、そうした細菌を兵器として利用する研究を始めた(731部隊)。日本の敗戦後は、そこで得られた情報がアメリカの対応する組織に移行された。細菌兵器は条約で開発が禁止されてはいるが、どうも多くの国で秘密裏に開発が進んでいるようである。人類が全体として、なんとか克服しようとしている細菌やウイルスの脅威を、逆に、人類の殺戮や人民の支配のために利用しようという魂胆である。人類全体に対する犯罪であろう。

 さて今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)であるが、それによるとされた感染者が、201912月初旬中国の武漢で最初に発見され、それが現代の交通手段などを通じて、世界中に拡散したと思われている。しかし、以前にも指摘した(注2)ように、武漢で発見される以前にイタリーやアメリカでこのウイルスに人々が感染していたらしいという証拠(抗体の存在)が見つかっており、そういった地域で武漢以前からウイルスが拡散し始めていたようである。本当の発祥地は今のところ不明である。アメリカでは、政治的理由で、このウイルスを武漢(中国)ウイルスと称してはいるが。

 このウイルスは、中国でコウモリに自然発生し、武漢で人間に移ったとされているが、ウイルスのRNA (DNA)の解析から人工的な変化が加えられた可能性が高いと指摘されたこともある(その論文は後に消去されたらしい)し、武漢にある細菌研究施設、またはアメリカにあるそうした軍事施設から漏れたなどという説も囁かれている(注3;注4)。この後者の場合は、ウイルスが問題になる寸前の201910月にアメリカニューヨークでコロナ型ウイルスの拡散によるパンデミックについてのシミュレーションEvent 201なる会議が行なわれた事実(注5)もあるからである。また、上に述べた感染症などの軍事研究施設が、遺漏などの問題で、2018年に活動停止を命じられたという事実もある。

 その上、先頃から問題にしているPCR検査(間違ってか、意図的にか)による感染者数の見掛け上の増大(注6)で、感染への恐怖心を人々に植え付け、その社会的、経済的、心理的生活に多大の影響を及ぼす結果になり、支配層がその意を強制的に市民に押し付ける(例えば,ロックダウンなどにより)ことを可能にしているようである。このようなことは、先に述べたEvent 201会議でも予測していた。

 このような人類全体への脅威となるウイルス・細菌へは人類全体が様々な工夫をこらして対応しなければならないのだが、現在の状況はその反対のようである。例えば、SARS-CoV-2ウイルスに対するワクチンの開発は、米国,中国、ロシアなどで懸命に行なわれていて、特に米国の大企業が異常な早さで開発に成功したとし、その安全性その他に関する検査もそこそこに、承認され、その使用はいくつかの国ではすでに始まっている。これに対して、アフリカその他の国々から、こうしたワクチンの特許は、不問にし、公開し、どこの国でも製造できる体制にしてほしいと申し出ているが、米国の企業は反対している。

 一方ロシアは、英米よりも早くSputnik Vなるワクチンを開発し使用しているが、外国でもその製造を認めているようである。たとえばトルコでは、このワクチンを国内で製造し始めるようである(注7)。

 

(5)人口問題

 

人類という種の地球上の生態系への影響の根本には、ここ12世紀の人口急増問題がある。この問題に関する一考察を、以前(2008年)この欄に発表した(注8)ので、参照されたい。なお、人口問題については、筆者の著「病む現代文明を超えて持続可能な文明へ」(本の泉社、2013)でも扱っている。

 人口を権力側にとって都合の良いレベルに、なんらかの手段(ワクチンに見せかけた不妊剤その他)で行なおうとしているといった噂もある。現在のコロナ禍は病死ばかりでなく、生活の困難に遭遇して、早死に,自殺などに追い込まれることにより、人口減少を促進する、そんなことを企んでいるといった裏話も囁かれている。

 しかし、人々自らが自覚して、人口を持続可能なレベルに維持するようなことを学び、実行して行かねばならない(注8)。それには、持続可能な文明とはどんなものか、どうしたら実現できるのだろうか、世界中の人々が考え、実行に移していかなければならない(「病む現代文明を超えて持続可能な文明へ」参照)。

 

                                                                                                           

(注1)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200806211025246

(注2)https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciaa1785/6012472 など

(注3)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58494070U0A420C2EA1000/

(注4)https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202002170000/

(注5)https://centerforhealthsecurity.org/event201/#:~:text=Event%20201.%20The%20Johns%20Hopkins%20Center%20for%20Health,order%20to%20diminish%20large-scale%20economic%20and%20societal%20consequences.

(注6)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202012210923391

(注7)https://www.rt.com/russia/511024-turkey-russian-vaccine-covid/

(注8)http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200811192242533


11.15.2021

人類の当面する基本問題(28)科学とニセ科学の相克(日刊ベリタ2020.10.19)

 

科学というものの本質が現在社会の中で踏みにじられて、非科学的主張が、政治的に科学を装って、しかもそれによって利益を得る側の政治・経済力で、世の中に喧伝され、市民を欺く例が増えている。これには、事象を充分に検討せずに報道するメデアの不勉強と、政権・報道関係の経済支配者への忖度も寄与している。23の例を考えてみる。

 

A)福島の子ども達の甲状腺ガン多発

 

2011年3月の福島第1原発の過酷事故後,福島の子供達の間に甲状腺ガンが多発、正常の罹患率に較べて5-60倍ほど。これは、おそらく実際よりも少ない数値であろうが、ともかく多くの子供達が甲状腺ガンにかかり、その大多数が手術を受けていて、危険な状態のガンであったことが判明している。これは手術を行なった医師が明言している事実。

 さて、チェルノブイリの事故でも、子供達に甲状腺ガンが多発し、事故から放出された放射性物質からの放射線に起因すると認められている。ウクライナでは、事故数ヶ月後から、被ばくしたと考えられた多くの子供達についてその甲状腺への被曝線量を測定しており、その測定値とガン発症率との相関関係も充分に検証されている。その上、被ばくしなかったと考えられる子供達多数のデータを比較し、被ばくしなかったグループには、甲状腺ガンは見られなかったという報告もある。

 さて、福島県・日本政府のこの問題への対応は、科学的を装っての科学的事実の否定の試みである。否定の根拠の主なものは:(1)事故によって放出された放射線量は、チェルノブイリの約7分の1で、チェルノブイリほどの健康障害が生じるはずがない;(2)子ども達全員に検査を施した結果、検出・治療を必要としないようなガンまでを検出した−過剰診断に過ぎない;(3)被ばく線量と発症率には優意な相関性がない。

 福島事故から放出された線量は、構内にある測定器による事故時の空間線量から推定されたものであるが、その推定値には、数倍の過小評価があること、そして事故時点以後も放射性物質は遺漏しつづけており、その総量はチェルノブイリのそれを凌駕(おそらく少なくとも3倍ほど)している。

 手術を必要と判断された子ども達は、先きにも述べたように、手術医が、手術が妥当であったと証言している。過剰診断が原因とするならば、福島以外、特に被ばく量が充分に低い地域の子ども達に同等の検査を行い、差があるかないかを検証するべきだが、これを政府側は徹底的に否定している。その政府側の否定の理由は、検査によってガンが見出されると、不必要な手術が行なわれ、一生甲状腺ホルモンを服用しなければならないなどの迷惑をかけるから。しかし検査によると考えられる過剰診断が、過剰治療になるとは限らない。ガンが見られたと診断されても、治療をするかどうかは別問題である。福島でも、過剰治療が施されたという証拠はない。なんども繰り返すが、手術を担当した医師は、全ての手術は充分に正当化されるものであったと証言している。

 なお、こうした政府側の過剰診断の主張の根拠は、韓国での研究結果であるが、それは、小児甲状腺ガンではなく、一般の人達への検査結果であり、たしかに、大人では、甲状腺ガンが比較小さく、生きている間に手術を必要としないケースが多いことは判明しているが、小児甲状腺ガンは、かなり違うようである。たとえば、福島の子ども達の場合は、かなり大きく、転位もしていたケースがかなりあったようである。

 被ばく線量と罹患率に関しては、政府側(東大,福島医大)からは数報の学術論文が発表されているが、被ばく線量の推測値が充分な根拠を持たないうえに、関係検証のための疫学的・統計的扱いが不当であることが示されていて、科学的根拠とはなり得ていない。

 

B)気候変動

 

現在の地球温暖化の主要な(90%以上)原因が、人為的な温室効果ガス(特に2酸化炭素)の増大であるというのが、科学的に検証されたものであるというのが、気候変動運動の主張である。しかし、人為による2酸化炭素などもなかった地球の全歴史45億年にわたって気候は変動し続けてきた。そして地球上生命の消滅に近い影響を及ぼすような現象も何回も起っている。

 現在の問題は、(1)温暖化の90%以上の原因は2酸化炭素の人為的増大によるのか、(2)現在観測されている異常気象(台風、集中豪雨、山林火災など)が、温暖化によって起っているのか、という2点である。

 (1)の点に関しては、今からおよそ200年前(産業革命)までの、人類による2酸化炭素の排出が顕著でなかった期間でも、温暖化も寒冷もあったこと、つい最近(20年ほど前まで)までの地球温度の変化は、太陽の活動と併行していたこと、もっと遡れば、地球と太陽との距離の変化などによっていたことなど、人為と無関係な現象であったことなどを指摘しておきたい。

 (2)異常気象も、確かに、ここ数年は顕著になっているようである。しかし、これも、少なくとも数世紀の長期にわたって異常気象がどの程度起っていたかを充分に検討する必要がある。

 こうした充分な検討も含めないで、何らかの仮定を儲けてのシミュレーションだけで、2酸化炭素の増大量だけが現温暖化の原因であるとするのは、科学的ではない。おそらく、2酸化炭素の増大も寄与しているとしても、温度上昇の原因の90%以上というのは充分に検討しなければならない。

 地球の温度(地表面、海洋表面、地表といっても水面からの距離はなどなど)といっても、実際は、各地点で、温度は異なる。そうした広範な、温度の変化をどう、地球全体の温度の変化とするかだけでも、この問題は非常に複雑である。現在の地球の気候変動は、自然現象,人為現象など様々な原因が錯綜しており、確かに、産業革命後、そして特に過去200年ほどの人類の、環境への影響の総体の結果も寄与しているはずである。なお、この問題に関しては、(注1)および「気候変動と原発」(注2)も参照されたい。

 

 

C)コロナ禍(Covid-19)の治療(医薬品対ワクチン)

 

201911月に端を発したとされる現在のコロナ禍(Covid-19)は、まだ不明なことが多いが、パンデミック宣言もあり、世界中を恐怖に陥れ、人類全体の生きる道である経済を根底から揺るがしている。ここでは、科学と非科学の抗争が顕著である。

 根本的な問題にはPCR検査の妥当性、集団免疫などがあるが、それは今は差し置いて、医薬対ワクチンの問題について考えてみる。

 科学的に見て、ワクチンは特定病原(菌、ウイルス)に対する抗体を体に作らせ、実際にそうした病原に感染した場合に抗体を作り出すという獲得免疫を植え付けるというもので、その有効性はかなりの例ではっきり検証されていると考えて良いと思う。問題は、特定の病気に対して、有効で安全なもの(酷い副作用が多発しない)が速やかに出来るかどうか。おそらく、長年を掛けて試行錯誤,検証(人体実験までを含めて)を繰り返せば、人類の英知は、有効なワクチンを開発することは可能であろう。ただし、現今のワクチンには、感染予防作用はあるにしても、長期保存などの目的のために、様々な添加物が加えられているケースが多く、それが深刻な副作用を及ぼすケースがかなり見られている。

 それはさておき、問題は、緊急なケースで、現在のCovid-19に有効で安全で感染拡大を防ぎえるものをいかに速やかに開発できるかである。そして、パンデミックと称されているので、広範なワクチン使用が必要とされ、ワクチン開発企業にとっては、成功すれば、莫大な利益が期待できる。 

 ワクチンは、感染拡大を抑える効果があるが、現在感染し治療を必要としているケースには役立たない。このためには、医薬その他の治療が必要である。Covid-19に感染したが,重症化を防ぎ、速やかに回復を促す医薬品の開発も重要である。

 こうした薬品の一つに、マラリアに1936年ぐらいから使われていたハイドロキシクロロキン(HCQまたはクロロキンCQ)が、Covid-19にも有効であることが、かなり沢山の医師によって報告されていた(例えば(注3)2020.04.17発表)。この薬品が現コロナの前に発生したSARSコロナウイルスにも有効であることはわかっていた(注4)。

 ところが、こうした薬品の有効性が確立されて、安価で広範に使用されると、新たに新薬を開発している企業やワクチン開発者にとっては不都合なのである。特に、アメリカのGilead Sciences なる会社のレムデシビルなる新薬およびワクチンなどとの争いのような現象が起っているのである。ここではその1例を紹介する。

 かなり早い時期(2020年3月11日)に世界保健機構(WHO)はパンデミックを宣言し、ワクチン開発の後押しを明確にした。多くの国で、ワクチン開発競争が始まった。特にアメリカでは、特定大企業にワクチン開発が集中し、その開発には、メリンダ・ビル・ゲイツ財団などが後押しをし、NIAIDの長であるアンソニー・ファウチ博士がその開発に賭けている。また、レムデシビルなる新薬もトランプ大統領がCovid-14に感染したとされた際には、投与されたと報道されている。

 HCGCQの有効性がかなりの医師によって主張され、使用され始めたのだが、20205月の段階で、イギリスの有名医学誌ランセットに世界各国からデータを集めて検討したところ、HCGCQには今回のCovid-19には有効性が認められなかったという論文が発表された(注5)。この論文に対して疑問をもった科学者その他が、論文の根拠になった大量のデータの信憑性を著者達に糾したところ、曖昧な返事しかえられなかった。でっち上げのデータであったようなのであり、この論文は、ランセット誌から削除された。

 ところが、この論文の、“HCQCQは、Covid-19には無効、むしろ害あり”というのが、WHOの主張になり、HCQCQの使用は禁止された。

 なお、2009年に発生したスワインフルー(豚フルー)が、やはりWHOによってパンデミックとされた。このフルーは、通常のインフルエンザとあまり違わないものと判明し、やはり、製薬業界のプレッシャーでパンデミックとされたということは、十分に検証された(2009年の(注6、7など))。製造されたワクチンは各国政府に買い取られていたが、無駄とわかり、廃棄された。しかし、ワクチン業者はおおいに儲けたのである。

 

 

 

(注1http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201910150820372

(注2) http://vsa9.blogspot.com/2020/08/blog-post.html 

(注3https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30296-6/fulltext

(注4) Virology Journal, 2, article number; 69 (2006)

(注5) Mehra MR, Desai SS, Ruschitzka F, Patel AN, "Hydroxychloroquine or chloroquine with or without a macrolide for treatment of COVID-19: a multinational registry analysis", Lancet. doi:10.1016/S0140-6736(20)31180-6

(注6) http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200912131511030

(注7) http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200912231038193