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11.23.2019

福島原発汚染水の海洋投棄の是非

現在、福島原発では、メルトダウンした燃料棒その他を冷却し続ける必要があるため、大量の水を毎日注入しているが、それが直ちに放射性物質に汚染されるため、その汚染水をタンクに溜め込んでいる。その量が増えたため、適当に汚染物(トリチウムのみと考えられている)の濃度を基準値以下にして海洋に放流しようと政府・東電側は考えている。福島漁民その他、多くはそれに反対しているが、権力側は、その危険性を無視している(または理解していない)。危険性については、ネット上に充分な論が発表されているが、それらを補足する意味で、日刊ベリタ紙に、 小論を発表したので、ここに再掲載します。
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トリチウムの危険性についてのBarks at Illusionさんの論(1)は重要な問題点を良く指摘しておられます。それに関して、23補足します。
 まず、現在、福島原発構内のタンクに貯められている汚染水は、トリチウム汚染水とされ、トリチウムのみが取り残されていると思われている。というのは、 ALPS(多核種除去設備)その他の装置を使って、トリチウムは取り除けないが、セシウム、ストロンチウムその他の放射性物質は除去されていることになっているから。そのため、「処理済み汚染水」または「トリチウム水」と称していた。しかし、 2018.9.2日に東電は、このトリチウム水のうち8割強の75万トンで、トリチウム以外の放射性物質の濃度が基準値を超えていたことを認めた。例えば、ストロンチウムが、最大で基準値の2万倍もあったものもあった(2)。すなわち、これらの汚染水は、単にトリチウムだけでなく、さらに危険な放射性物質も含んでいる。こんな水を大洋に放流するわけにはいかない。
 トリチウムは、(1)でも述べられているように、通常の水素と同様に振る舞うので、水として生物の体のどこにでも侵入する。そして体内の様々な所でその悪影響を及ぼす。特に顕著なのが、先(1)にも述べられている白血病である。母親がトリチウム水を飲まされ、その乳で育てられた子ネズミに、トリチウムが取り込まれるが、特にその脳に多く留まることが実験的に確かめられた(3)。これは、脳への悪影響が深刻だということを示唆しているが、その影響は、体の他の部分への影響のように明確には認識されにくい。しかし、日本の子供達の間での精神異常が、原発が増えるに従って増えていったし、福島事故後にもそのような傾向が見られるようである。




10.17.2019

地球温暖化人為説について

地球温暖化が、2酸化炭素を大量に放出したことが原因とする、人為説が現在、若者達を立ち上がらせて、大きな運動になっています。それに関して、問題点を少し、検討してみたのが、下の日刊ベリタ(http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201910150820372)に掲載されたものです。


『地球温暖化をなんとかせい』という運動

地球温暖化が問題にされだしたのが、1970年代初期、その原因が、主として人為によるもの(2酸化炭素の温室効果)だということが、IPCC1988年設立)などの組織を通して、科学的に確立されたものとなり、それに反する意見は無視されるか、攻撃されるようになった。そこに、ここ数年、スエーデンの少女(グレタ・ツーンベリ)が、1人で立ち上がり、「大人どもよ 、温暖化を阻止することをしないで、我々子供達を死に追いやるのか」と発言、それに触発されて、世界中で、若者が立ち上がり、大規模な運動に発展した。日本ではそれほどでもなかったようだが、NHKなどでは、報道に力を入れたようである。この運動について、23コメントを。
 2酸化炭素の温室効果を云い出したのは、スエーデンのスヴァンテ・アレニウスという学者で、ノーベル賞も受賞している。これは、ずっと昔の20世紀初期の話しで、1970年代からの運動の根拠にはなっている。温室効果という現象があることは、科学的に正しいが、現在の温暖化の原因の90%以上がこの2酸化炭素の増加によるというのは、実は間違いであることが、様々な根拠からわかりつつある(その解説の一つ:広瀬(注1))。
 さて、地球の温度変化や、大気中の2酸化炭素量などの変化は様々な仕方で研究されてきた。その中に、過去5百万年ほどの期間の大気中の2酸化炭素と地球の温度がほとんど完全に一致して変化しているというデータがある。かなり信用できるデータのようである。この温度変化は、もちろん人為によるものではない。これを、原因と結果を逆転させて、温暖化説に利用している。というのは、このデータを、2酸化炭素が増えた(原因)から温度が上がった(結果)と主張しているのが、現在の人為温暖化説だが、実は、逆で、温度変化(原因)が2酸化炭素の変化(結果)をもたらしているのである。それは簡単な原理で、温度が上がれば、水中の2酸化炭素の溶解度が下がる(水中に居づらくなる)。だから、温度が上がれば、2酸化炭素が海水から逃げ出し、大気中の2酸化炭素の濃度が上がる。だから、現在の温暖化人為説は、まったく逆なのである。
     ということは、気候変動は、実は別な原因によって起っているのである。その原因はまだ完全には解明されていないが、太陽の活動の変化、天体−地球間の相互作用の変化、地球の極地の移動、地磁気の変化などが関係しているようである。実は、1960年代ぐらいまでは、多くの地球科学者は、温暖化どころか、地球はやがて寒冷期に入ると予想していたのだ。現在でも、寒冷化傾向は続いているのだが、その過程で、温度の上下はあるので、ここ数年がその温度上昇期と考えられている。
 地球の気候変動は、人間が左右できるようなものではなさそうである。「 温暖化阻止はできるはず、だからやれ」というのは、人間の奢りでしかない。グレタさんも、大人世代の無策を追求するばかりで、その具体策には言及していない。2酸化炭素の削減を示唆するのみである。現代の陥っている環境破壊、経済政策の破綻などなど、現世代の大人達を批難することは正当だが、もう少し具体的な指摘があってしかるべきだと思う。
 温暖化を阻止するとして、2酸化炭素削減が必要と主張する運動は、「原発増設」の必要性をつくりだすことが初期の目的のようであった。しかし、化石燃料も、ウラン資源もやがては枯渇するし、 チェルノブイリ事故,福島事故などの過酷な経験から、原発は廃棄しなければならないということは事実で、再生可能エネルギーの開発に力を注がなければならない。そうした方向へ、グレタ運動が進展していくようになってほしいものである。2酸化炭素削減のために原発をという考えは、人類を更に悲惨な状態に導くだけである。
 最後に23基本的なことを:
(1)植物は2酸化炭素と水から (光合成で)炭水化物を作り、それを他の生物(人間を含む動物,その他)が消費し、2酸化炭素に変換しなおす。この過程で、生物はエネルギーを得る。すなわち、2酸化炭素はこの地球上での生物に必要不可欠の物質である。現在、2酸化炭素の増大により、植物の全体量が少し増えつつあるらしい。すなわち、2酸化炭素の現在程度の増加は、植物には有利に作用しているようである。なお、光合成で、炭水化物と同時に出来るのが、我々が呼吸している酸素である。したがって、2酸化炭素が少なくなり、光合成が減少すると、大気中の酸素も減少する。
(2)先に過去500万年ほどの温度変化を述べたが、もっとも最近の氷河期から現在までの温度変化を添付の図に示す(安田義憲氏の作った図で注2の著書から引用)。人間による大量2酸化炭素発生が始まる前に、温度変化は.何度も起きているのである。しかもその変化は2度ほど:現在の温度変化の数倍の変化。
(3)今年日本は、台風に直撃されることが多かった。この原因が、地球温暖化だと考える人が多いようである。実は、大型の台風といえば、今回と同程度かそれよりも強烈なものが、過去1世紀のうちに何度もあったのである。23上げると、1945年9月の枕崎台風(原爆投下後1と月の広島を襲った)、 狩野川台風(1958)、伊勢湾台風(1959年)その他。ただし、ここ数年は、あまり強烈な台風には見舞われていなかった。これらの事実は、皆さんが調べてみれば、わかることで、今回の台風(特に、15号、19号)が希な、強烈なものであった、それは地球温暖化によるものだなどと、簡単に結びつけられものとは考えられない。こうした事実を無視しないで、もう少し広い視点から、ものを見る必要がある。
     
(注2)石弘之、安田義憲、湯浅赳男:『環境と文明の世界史』(洋泉社、2001