“Let Peace be Their Memorial”という催しが、バンクーバ−の平和公園(Seaforth
Peace Park)で、11月11日、メモリアルデイに因んで行われた。これは、メモリアルデイの国家的イヴェントが、戦死した兵士を追悼するのが主体であるのに対して、戦争では、多くの戦士以外の人々が犠牲になっている、そういう人たちを追悼し、そういう人たちを増やさないように戦争を廃し、平和を築こうとする催しである。
この運動の象徴は、赤でなく、白のポピーである。平和を象徴する白のポピーを広める運動は、第1次世界大戦後の1934年に英国で始められたそうである。今回の催しは、この白ポピーを象徴にした平和運動Vancouver
White Poppies、その主催者Teresa Gagneさんが主体となってBC
Humanist Associationと共に、行われた。私は、この催しが行われる数日前になってから、Teresaさんから、広島・長崎の犠牲者を追悼するための花輪を捧げることに参加してくれないかというメールをもらった。それには、当地の著明な平和運動家David
Laskeyさんが、都合で出られないので、 落合に連絡してみたらということで、私(VSA9)に連絡が来たというわけである。この経緯から、私は、この催しはすでに何回も催されているのではないかと思っていたのだが、実は、今回が初めてであった。
式は簡素なもので、”Dona Nobis Pacem”の全員による合唱と、Teresaさんのこの催しの主旨説明に始まり、バンクーバ−の公園委員会の代表 、バンクーバ−の連邦議会議員 などからの献花が行われた。そして歌。BC
Humanist AssociationのIan Bushfieldさんの“War’s
Waste of Human Potential”という講演。ついで、Universal Wreath Laying
Ceremonyとなり、様々な団体からの、戦争に関係した犠牲者たちへの献花があった。最初は、ある小学校で、戦争で犠牲になったり、孤児にされた子供達のための花輪を、子供達が作ったというものでした。そして、そのほか主なものは、「兵士に駆り出された子供達のために」「戦争に反対したり、良心的に良心的兵役拒否者迫害の犠牲者に」「性的に虐待された女性達に」「PTSDなどの後遺症に悩む人たちに」「戦争のために教育の機会を無くした子供達へ」「戦争によって破壊された環境へ」などなど、戦争によって引き起こされた様々な犠牲者や破壊されたものへの献花だった。
そして最後にローカルグループによる献花があり、中国系のBCアルファから太平洋戦争での犠牲者を追悼し平和の願いを込めたもの、私達VSA9からの広島・長崎の原爆犠牲者追悼の意味の花輪、そして、現在シリア難民の代表からのシリアの現状を悼む花輪が捧げられた。そして、Teresaさんの閉会の言葉と、“Let There Be Peace on Earthという歌の合唱で幕を閉じた。この歌の一節を下に書いておきます。
To take each moment and live each moment
In peace eternally
Let there be peace on
earth
And let it begin with
me
この式典に参加した人は、おそらく百数十人だったと思います。全体に、戦争が多発している現状を憂慮し、平和の願いを込めた集会だったと思います。
メモリアルデイの本来の主旨である、戦争に直結した兵士達の犠牲を悼むという発想は、重要には違いないが、そこには、戦争そのものの理不尽さなどへの反省は、あまり意識されてはいないと思われる。それに対して、この催しは、そこで無視されている戦争に付随する様々な犠牲を思い起こすことによって、戦争の無意味さを人類が悟り、戦争を無くそうとする人類の意識を大切にする催しであり、そのようなものとして、今後も行われるべきだし、より多くの場所でも催されることが望ましい。